鷲ノ木(わしのき)遺跡
- 時期:縄文時代後期前葉(約4,000年前)
- 所在地:北海道森町字鷲ノ木
道南の噴火湾沿岸の海岸線から1km内陸に入った丘にある、道内最大の環状列石(ストーンサークル)と竪穴墓域です。駒ヶ岳の噴火による厚い火山灰に覆われていたため、非常によい保存状態で発掘されました。
環状列石は石が三重に丸く並べられ、北東北地方のものと似ていますが、単純な配石には独自性が見られます。全体の大きさは南北37m、東西34m、並べられている石の大きさは、20から80cm、石の数は約600個にも及びます。環状列石の南側5mほどの場所に、大小11個の土壙(穴)をもつ竪穴墓域が発見されました。
環状列石の東方には駒ヶ岳、北方には噴火湾越しに羊蹄山が見え、ちょうど雪が降り始める11月初めには駒ヶ岳山頂から日が昇ります。縄文人はそこから見える山と太陽の動きを観察し、四季の変化を理解し、様々な祭祀を行っていたとも考えられています。
現在、環状列石の下に高速道路のトンネルが通り、史跡はまだ公開されていませんが、今後調査を行いながら少しずつ整備・公開する予定です。
※環状列石(ストーンサークル)とは
石を並べた配石遺構の一つで、墓地や祭祀・儀礼の場と考えられている。縄文時代を象徴し、その精神世界を知ることができる貴重な遺構。周囲にある山と、夏至と冬至、春分と秋分の太陽の軌道に強い関係がある場所に作られたといわれる。