大船(おおふね)遺跡
- 時期:縄文時代中期後半(約4,500年から3,000年前)
- 所在地:北海道函館市大船575-1
道南の噴火湾を見下ろす高台にある大規模な集落跡で、北海道の縄文文化を代表する遺跡です。
発掘調査では、600軒におよぶ住居跡のほか、壊れたり、不要になった道具に感謝する「物送り」の儀式を行った場所「盛土遺構」も確認されました。特徴的な遺構としては、長さが10mほどの楕円形で、壁の高さが2m以上もある大型の竪穴住居があり、2階建てだった可能性もあります。また、多くの住居では入口と反対側に土坑状の施設があり、そこから青竜刀型石器や石棒など、祭祀に関わるものが出土しています。
見つかった遺物は20万点にもおよび、250点の復元土器のほか、数多くの石皿があるのが大きな特徴です。石皿は、ドングリやクリ、クルミなどをすりつぶす石臼として使用されたと考えられています。そのほか、クジラ、オットセイ、シカ、マグロ、タラなどの骨類、クリ、ヒエ、マタタビ、キハダ、ウルシ、ヤマブドウ、クルミなどの木の実や種子なども発掘されました。これらの調査成果から,豊かな自然を背景に継続して、安定した生活が営まれていたことが推測されます。
現在は、竪穴住居や盛土遺構を復元した「縄文のにわ」、植樹活動により当時の環境の再現をめざしている「縄文の森」、資料が集められた「大船遺跡埋蔵文化財展示館」があり、見学は自由です。また、近くには2011年10月にオープンした「函館市縄文文化交流センター」があります。
*竪穴住居とは
地面を掘りくぼめ、その上に屋根をかけた、先史時代の代表的な半地下式の住居形式。世界各地にみられ、日本列島を含む東北アジアでは、旧石器時代の終わりから約1万年間、気密性・断熱性に優れた住まいとして選択された。