入江・高砂(いりえ・たかさご)貝塚
- 時期:縄文時代前期から晩期(約6,000年から2.300年前)
- 所在地:北海道虻田郡洞爺湖町入江・高砂
道南の噴火湾をのぞむ台地にある2つの貝塚で、600m離れた位置にあります。縄文時代前期から晩期の周辺の自然環境や、縄文人の狩猟生活の様子や食料事情、さらに埋葬の様子などが分かる貴重な遺跡です。
入江貝塚は、主に縄文時代前期から後期の大規模な3カ所の貝塚で、その他にも小規模な貝塚、住居跡、墓も発掘されています。最も大きな貝塚は、東西40m、南北35mの大きさで、中心の厚さは3mに達し、断面が黒っぽいことから「黒い貝塚」とも呼ばれています。埋葬された人骨も19体発見されました。また、ここで発掘された土器は「入江式土器」と呼ばれています。
高砂貝塚は縄文時代後期初頭の2カ所、晩期の貝塚2カ所、アイヌ文化期の貝塚3カ所のほか、晩期の墓が発掘されています。晩期の28基の墓はいずれも上に石が置かれ、底に赤色顔料がまかれ、副葬品として土器や土偶、石製の垂飾(たれかざり)、小玉が見つかりました。発掘された人骨25体からは、抜歯の風習が確認されたものもあります。
現在、入江貝塚は竪穴住居が復元され、貝塚の断面が観察できる施設が整備された史跡公園となっています。また、入江・高砂貝塚館には、発掘された土器や土偶、シカの骨で作られた銛、イノシシの骨で作られた装飾品など貴重な資料が展示されています。